こんにちは、今回はモロッコ留学中にホストマザーに連れられて超ローカルなハマムに行った時の体験談を書こうと思います!
そもそもハマムとは
ハマムというのはアラビア語で「お風呂」に近い意味を指す言葉なのだそうで、その言葉の通りモロッコ版公衆浴場のことです!
モロッコと書きましたがもちろんモロッコ固有の文化というわけではなくアラブ圏の文化なのでしょうか、トルコのハマムなんてとても有名ですよね。
少し話が変わりますが、日本は本当に水に恵まれた地域だなぁと外国に来るたびに感じます。それは水量が豊かなだけではなく、整備された清潔な水道、給湯システム、そしてその水質こそが素晴らしいポイントだと思うのです。
柔らかい軟水を大量消費できる日本人は「なんで外国人はお風呂に入らないんだ?」「フランス人が週に2回しか髪を洗わないってやばすぎ」なんて呑気に考えていることと思います。しかし、それは日本の軟水が身体や衣服に大変優しい水質だからこそなんです!
モロッコの水は中硬水にあたると言われており、ヨーロッパなどのガッツリ硬水の国に比べればいくらかマシだと思いますが、とにかく髪と肌をギッシギシにさせます。
さらに硬水で洗濯した衣服は、全て灰色でガッサガサの布と化します。
これは硬水がマグネシウムやらカルシウムやらを含んでいることに関係しており、ヨーロッパでは色落ち防止のため「黒い服専用の洗剤」「色もの専用の洗剤」など様々な種類の洗剤とガサガサ防止の柔軟剤は洗濯に欠かせません。
さらにモロッコの給湯システムはガスを使用して水を温めるというもので、日本のように安定してお湯を使うことができません。ホテルでさえ水しか出ないところもザラにあります。
というわけで毎日ゆっくりとお湯に浸かり、髪をわしゃわしゃ洗うことはモロッコにおいて魅力的な行為ではありません。
その代わりモロッコの人々は週に1度ほどハマムに出かけて体をスッキリさせるのです。
それではハマムの中身がどんな感じなのか、体験談をお読みいただければと思います。
ハマム体験談
ハマムに行く前日、ホストマザーが電話で垢擦りのマダムに予約を入れてくれました。
どこのハマムも電話が必要なのかどうかはよく分からないですが、料金は前払いだったので予約するとスムーズなのだと思います。
出かける1時間前、ホストマザーがわたしの髪の毛を見て叫び出しました。
そして台所でわたしの髪の毛にヘンナを塗りたくり、ラップを巻いてくれました。
ヘンナというのは「ヘナタトゥー」などでお馴染みの植物で、日本では「ヘナ」と呼ばれることが多いです。ヘナの葉に含まれる赤い酵素色素は古くから染料として利用されてきました。
日本でも「ヘナ染め」が植物由来の優しい白髪染めの方法としてよく使われていますね。
モロッコではヘナの葉を粉末状にしたものを溶かし、髪に塗ってハマムで流すことで自分で髪を染めているようです!
ホストマザーも週に一度ハマムに行くたび髪を染め直しているようで、白髪が一本もありませんでした。
ラップの上からスカーフをかぶり、ハマムへ。なるほど、モロッコではスカーフを巻いていることは全く普通のことなので、まさかスカーフの中がヘンナまみれだとは誰にも気付かれずにハマムに行くことができるんですね。
部屋の外に受付があり、先にお金を払いました。シャンプーや石鹸など必要があれば入口で買うことができるようです。
中に入ってすぐの部屋は脱衣所で、まずパンツ以外の洋服を全て脱ぎ、荷物をスタッフのおばさんに預けます。荷物を預ける時はチップを渡すのがマナーですが、ここでは先払いの料金に含まれているようでした。
パンツは脱ぎません。日本の温泉では全部脱ぐんだよとホストマザーに言うと、大胆すぎるわ!とかなり衝撃を受けていました。
ここでホストマザーに、あんたコンタクト外した方がいいわよと言われ渋々コンタクトを外しました。
わたしはかなり視力が低いのでコンタクトを外すと本当に何も見えず、日常生活では極力外さずに生きていきたい人間です。22時間のフライトでも外さないほどです。
今回は残念ながら外さざるを得なかったので、ここからは視力0.01の世界をお届けします。
コンタクトを外したおかげで、なんとか人間を茶色い影として認識できるだけになってしまったため、現地人の視線が全く気になりませんでした。多分みんな「なんかめっちゃ貧相なアジア人おる」とわたしのことをガン見していたのではないでしょうか。
わたしは逆に超ナイスバディなモロッコ人を見て病まずに済みました。結構若い子もいたのでほんとなんも見えなくてよかったです。
ハマムに入ると大きな部屋の端に水道があり、スタッフのおばさんが大きなバケツにお湯を汲んではみんなに配っています。水道もわたしにとっては灰色の塊にしか見えなかったので、これ以上の詳細は分かりません。
客は壁際に引いてある薄いマットの上に座り、バケツを引き寄せて体を洗います。
まず最初にホストマザーが渡してくれたのは「サボンノワール(黒い石鹸と言う意味)」と言うまるでニスのような液体。トロトロとしています。体を擦っているうちに、ありえんほどの角質が身体中からボロボロと出てきました。そう、サボンノワールを初めに使うことでまず体の汚れを取りやすくするようです。
ホストマザーはその後泡立つ普通の石鹸でその角質を流していました。
その後髪のヘンナを一度流し、再び髪に塗り直します。
なんと身体中にもヘンナを塗りたくります。理由はよくわかりませんが、塗っても大丈夫なものなのでしょうか?
またヘンナをお湯で流し、今度はガスールを塗っていきます。
ガスールというのはモロッコのスキンケアでとても有名な泥パックです。泥でできた粉末状のガスールにお湯を足して溶いて体に塗っていきます。ガスールは毛穴汚れを落とすだけでなく髪の毛を洗うことにも使えるのだそうですよ。
ガスールを落とした後、垢擦りのおばさんがやってきました。マットの上に仰向けになった瞬間、じゃがいもの皮を剥くためのグローブみたいなのあるじゃないですか、まさにあれをつけておばさんが全力で肌を擦ってきました。
まじで痛い!!!!
本当に痛い!!!!
しかもなんていうんだろう、ひとこすりの距離が超長いんですよ。もうお腹の下の方から鎖骨まで一気にザッッッッッッて擦ってきて、しかもグローブつけてるのにすごい力を込めてくれるんですよ。短距離走だったらまぁ、何往復かされても我慢できたかもしれません。でも距離が長すぎる。もう鎖骨に到達した時には時速がトップスピードに乗ってしまっている。しかもやっぱり絶対それ野菜の皮剥くためのグローブだよ人間の肌には使っちゃダメなんじゃないかなとか考えているうちに、垢擦りが終わりました。
終わってすぐにまだ自分に乳首がついているかどうか確認しました。
ありました。
最初のお腹から鎖骨にかけてが痛すぎて他の部位に関しては何も感じませんでしたね。
嬉しいことにパンツをひん剥いてお尻までゴシゴシやってくれるんですよ、もうプリップリになっちゃうんじゃないかと内心ワクワクしました。
終わった後、わたしの周りには大量の垢が散らばっていました。こんなに出てくるんだ!という量で、垢擦りのおばさんも満足そうに笑っていました。
垢と一緒に髪のヘンナも洗い流します。
普通のシャンプーとボディウォッシュを使って洗いました。ホストマザーはまたもや体にガスールを塗っていて、えー!さっきあんなに垢落としたのにまだやるのね!という気持ちになりました。
周りを見渡すと、自分で垢擦りをしている人も半分以上いました。友人や家族でお互いにやってあげている人も多かったです。
モロッコの人はヘアトリートメントを使わないのでしょうか?みんなシャンプーをしたときに櫛で髪をガッツガッツとかしていました。すっすっとはいきません。ヘンナやらガスールやらをした後なので、絡まって絡まって大変です。ホストマザーは容赦無く泣き叫ぶ4歳の娘の髪に櫛を入れ、禿げるんじゃないかという力で引っ張ります。そして容赦無く頭の上からお湯をぶっかけては髪を引っ張りお湯をぶっかけては髪を引っ張り、4歳は必死にバケツにしがみついて雄叫びをあげていました。
わたしは日本から持ってきたトリートメントをつけて一人すっすっと髪を梳かさせていただきました。
髪を洗ってお湯で体をしっかりと流したら終わりです。
隣の人は保湿クリームらしきものを塗っていましたが、わたしは持っていなかったのでそのまま退場。外に出るとおばさんが荷物を持ってきてくれました。
荷物と4歳の娘を連れて脱衣所の広いところまで移動し、着替えます。わたしは目が見えなすぎて自分のパンツを紛失しました。
仕方ないのでノーパンでウロウロしパンツを探します。周りのおばさんたちも一緒に探してくれましたがありませんでした。なんでだよ。
濡れた髪をスカーフで隠し、ホストマザーはなんと分厚いバスローブ姿のまま車に乗り込み、帰宅です。その格好でいいんだ????
帰ってからコンタクトをして自分の髪を見ると、確かに、ブリーチでほぼ金色になっていた部分が自然な茶色に染まっています!ヘナで染めるともっと赤くなるイメージだったのですが、思ったより普通に茶色で安心しました。
そして肌がツルツル!!!!!まじでツルツル!!!!!!!
結局ちゃんと保湿しなかったのに、そんなに乾燥しませんでした。いや、絶対に保湿した方が良いとは思いますけどね!!!
ただ乳首だけは異常に乾燥していました。なんとかまだ体に付いてはいましたが、なんか痛かったです。完全に傷ついちゃっているじゃん。やっぱあんな力で擦っちゃダメだよね????モロッコ人の乳首どうなってんの????
以上が、ローカルなハマムの体験談でした。
なかなか1人で行くことができない場所だと思うので、とても良い経験になりました。
もちろん、観光客の入りやすいもっと綺麗なハマムもたくさんありますので、ぜひ機会があったら行ってみてくださいね。