2021年3/22から約8週間の間、モロッコに留学していました。
なんでモロッコに行ったのか、わたしのモロッコ留学の経験を簡単に紹介させていただければと思います。
モロッコに留学しようと思ったきっかけ
実は、初めから「どうしてもモロッコに行くぞ!!!」という強い気持ちを持って準備をしていたわけではありません。
わたしは大学でフランス語を専攻しており、日本にいると語学勉強のモチベーションが上がらないこともあって、ずっと「なんらかの形で留学してみたいな〜」と思っていました。フランスに。
もちろん、フランスだけではなくスイスやベルギー、カナダなどのフランス語が通じる他の国も視野に入れてはいましたが、留学する前はモロッコなんて全く考えていませんでした。
というか、モロッコでフランス語が通じるということを知りませんでした。
ところがコロナの影響により、まずフランスのワーホリビザが取れなくなってしまいました。
もともと海外でのワーキングホリデーやインターン、ボランティアなどに興味があったのですが、このワーキングホリデービザが取得できない限り、長期滞在はおろか、プログラムへの参加や、働いた給料をもらうことが難しくなってしまいました。
学生ビザだったら取得できるということだったのでフランスの語学学校を探し、登録し、現地の寮も予約し、学生ビザも申請して、あとはフランスに行くだけ!というところまで準備しました。
しかし、ちょうど出国のタイミングにぶち合わせて、フランスが入国規制を始め、なんと入国することができなくなってしまったのです。
ちょうどフランスの入国規制にドンピシャで嫌がらせされました。 3ヶ月間準備してきたのはなんだったんだろうね???????? 追記:現在またフランスは入国規制を緩和しましたね。本当に最高のタイミングで入国規[…]
当時のわたしは本当にフランスが嫌いになっていました。
しかし留学を諦めかけていた私のために、
このように半分やけになってモロッコに留学することを決めました。
ちなみにその時、友人はスペインに留学していました。遠い国からわたしのことを一緒に考えてくれて本当にありがとう。
モロッコ留学を決意した決め手5つ
ここまでモロッコに留学するまでの歴史を長々と語ってしまいましたが、モロッコ留学を決めたのは、フランス留学とはまた違ったメリットがあると思えたからです。
決め手となったポイントを5つ、紹介しようと思います。
1.モロッコの公用語はアラビア語?フランス語?
日本語だけしか喋れない日本人からすると想像が難しいのですが、多くのモロッコ人はアラビア語とフランス語の両方を話すことができます。
つまり、国民の多くが2ヶ国語以上を華麗に操るマルチリンガルなんです!
具体的には、母国語はアラビア語で、友人と話したり生活の中で使うのはアラビア語が中心のようです。このアラビア語はモロッコ方言の「ダリジャ」とも呼ばれる訛りがあり、実際モロッコ語といっても過言ではないほどクラシックなアラビア語(フスハー)とは異なります。
しかし興味深いことに、このダリジャには正式な書き言葉がなく、文字としては正式なアラビア語(フスハー)を使用せざるを得ないという状況があります。モロッコ人の中には、フスハーよりはフランス語の方が読みやすいと感じる人もいるようです。
モロッコの中でも都市部では、子供たちは小学生のうちからフランス語の授業とフスハーを学ぶ授業をどちらも受けています。さらに英語の授業もあるんだよ!とステイ先の家族の9歳の子が教えてくれました。また大学の授業は全てフランス語が使われるため、大学を出た若者はフランス語が堪能です。さらに、わたしが実際に話した若者はみんな英語もかなり上手でした。
(もちろんフランス語を話さないモロッコ人もたくさんいます。特に観光地では逆に英語の方が通じると感じることもありました。特に砂漠観光で有名なメルズーガや、モロッコ北部のシャウエンではむしろフランス語はあまり通じないと感じました。)
そしてモロッコ人自身もフランス語や正式なアラビア語(フスハー)を学ぶために、語学学校に通うことも多いのです。そのため都市部にはたくさんの語学学校があります。「モロッコに留学したらクラスが現地人ばかりだった!」なんていうブログもたくさん見ますが、もちろん外国人向けの学校もあり、フランス語、アラビア語を学ぶ留学生が集まります。語学学校の先生やホストファミリーはとても綺麗なフランス語を話します。
発音の訛りなどもそこまで気になるようなものではないですし、フランス語を使って生活ができるので、実際日常でフランス語を使う機会はかなりたくさんありました。
また、モロッコ人はとても親切でフレンドリーで、たくさんの人がフランス語やアラビア語で話しかけてくれるため、意図せずとも多くの現地人とコミュニケーションを取ることができますよ。
2.生活費が安い
やはり、ヨーロッパへの留学と大きく違うのは現地でかかる生活費です。
モロッコへのフランス語留学は、フィリピンへの英語留学のようなものだ!と言っている方がいて、なんてわかりやすい例えだろうと感心しました。まさにそれです。
実際に1ヶ月間の留学費用を簡単にまとめてみましたのでご覧ください。
(航空券往復 | 12万円) |
語学学校 | 6万円/月 |
家賃(ホームステイ) | 8万円/月 |
生活費 | 約1万2千円/月 |
合計 | 15万2千円/月 +航空券 |
航空券を入れて考えるとばらつきが出るので抜かせていただきました!(詐欺)
わたしの場合、語学学校と家賃はかなり割高だと思います。アフリカ圏ということもあり、住居や語学学校は多少お金をかけてでもでも安心できる場所を選びました。
しかしホームステイは2食付きで、なんなら頼めば昼食も快く出してくれたので、他の生活費がほぼかかりませんでした…。ラマダンにかぶっていたこともあり、外食する機会もほとんどなく、結果ほぼ出費無し…。
※海外保険に入るともう少しお金がかかります。普通の人は入ります。しかも高額です。
家賃は探せば月2万円ほどでホステルなどに滞在できます。語学学校はInstitute Franceが2ヶ月約2万円でフランス語のコースを提供していたりもします。
もしその格安コースで行けばこうなるでしょうか。
(航空券往復 | 12万円) |
語学学校 | 1万円/月 |
家賃(安いホステル) | 2万円/月 |
生活費 | 約4万円/月 |
合計 | 約7万円/月 +航空券 |
Institute Franceはフランス政府公式機関として各国各都市でフランス語の講座や文化イベントなどを行う機関で、日本にもあります。モロッコにも各都市にあり、週に2回ほどのフランス語の講座を2ヶ月間開講しています。
興味があったら2021年度の春のコースの詳細をチェックしてみてください!
加えて簡単に現地の物価の例をまとめておきます。
モロッコの通貨はMDH(モロッコディルハム)というもので、2021年現在1MDA=12円ほどの相場です。
SIMカード 33GB・月 | 150MDA(約1900円) |
水 4.5L | 15MDA(約180円) |
タクシー5キロほど | 10MDA(約120円) |
カフェのコーヒー | 10MDA(約120円) |
ランチ | 20-40MDA(約250-500円) |
都市によって物価も変わってくるのであくまで一例です。
生活費が安いので週末に何度か旅行をしましたが、バスや電車代などもかなり安いです。
ただコロナで観光客向けのホテルやレストランなどが閉まっていたり、名所が絶賛工事中だったりしました。(泣)
3.モロッコ人の国民性が良すぎる
いくら生活費が安くたって、モロッコってアフリカでしょ?治安はどうなの?と思った皆さん。
はい、わたしもとても気になっていたポイントです。
しかし色々なブログで「モロッコは治安が悪いわけではない」「人が優しい」という言葉を目にし、実際にモロッコに惚れ込んで移住した方などのブログなどを読んでいるうちに、行ってみたいなぁという気持ちになってきました。
実際に行った感想を書かせていただきます。
まず治安に関しては「悪くない、むしろ良い方」だと感じました。
滞在していたのがモロッコで最も治安の良いラバトという首都だったことももちろんあります。しかし他の都市に旅行をしていた時も危険だと思うことは全くありませんでいた。もちろん、夜の遅い時間に女性一人で堂々と歩ける日本とは違います!しかし夜行バスを待つために待合室に深夜で女性1人で座っていても全く問題ありませんでしたし、ある程度人がいるところでは夜も出歩くことができました。
整備された住宅地では、道に1つほどの感覚で小さな小屋があり、警備員のおじさんが外をのぞいています!街灯は少なく、一見暗くて危ないですが、このように監視の目が行き届いている地域もあります。
個人的にはアメリカのカリフォルニア州に留学した時の方が、「あ、この道ヤバい」などと本気で危険を感じることが多かったですね。
もちろん、スマホをポケットに入れっぱなしにする、現金を大量に持ち歩く、あまりにも金持ちそうな服で歩かない、など最低限のマナーはあります。
しかしここで皆さんに伝えたいのはモロッコ人の国民性です。モロッコの人々は非常に優しく、人懐っこい方が多いです。「お嬢さん、そこにスマホを入れたら危ないよ」「リュックが空いてるよ」など、注意してくれる人もいます。道を歩いていれば「ボンジュール!」「サラーム!」「ようこそ!」と多くの人が声をかけてくれます。
ただ、「ニーハオ!」と声をかけてくる人もたくさんいます。これに関しては相手の言い方と自分の心の疲労度次第で受け取り方がだいぶ変わるんじゃないかと思っています。
というのも集団の男性たちがニヤニヤしながら「ニーハオ!!」と叫んでくると普通に怖いですし、馬鹿にされているのかなとかなり憂鬱になります。
また相手関係なく、ストレスで疲れている時、悲しい時に「ニーハオ!」「シノワ!(中国人)」と叫ばれると「アジア顔だからって全員中国人だと思うなよ〜〜〜〜〜!!」とイライラしたり、
珍獣のように人々からジロジロ見られると「やめて〜〜〜!」と思ったりもします。
しかし逆に気分が良い時は「声をかけてもらえて嬉しい!」なんて思ったり、あとは小さい子供から「ニーハオ!」と呼ばれるのは別に不快ではなかったりするんですよね。一度、かなり広い道路を走行中のトラックの運転手がわざわざ大きな声で「ニーハオ!」と笑顔で手を振ってきた時は、思わず笑ってしまいました。
ジロジロ見られるからといってそれが決して「侮蔑の目線」ではなく、単なる好奇心やむしろ温かい笑顔をくれる人もたくさんいるということにも気づけました。
わたしは旅行先でたくさんのモロッコ人に助けられ、優しくしてもらったおかげでモロッコ人が大好きになりました。
ヨーロッパや特にアメリカではコロナが中国から広がったということも相まって、近年アジア人差別を受ける人が増えているようです。アジア人に対するヘイトクライムのニュースを耳にするたびに本当に悲しい気持ちになります。(コロナ以前の問題でもありますが)
しかしモロッコではアジアンヘイトを受けることはありませんでした。(「ニーハオ!」という挨拶が時にアジアンヘイトのように感じる人もいる、ということは置いておき)中国人がビザなしでモロッコに入国できるようになってからとても多くの中国人がモロッコを訪れるようになったため、アジア人が特段珍しいということもないようです。(そのため中国人だと思われやすいですが)
実際モロッコ滞在中に「フランスで日本人が顔に塩酸をかけられる」という事件が起き、モロッコに来て良かったかもと震えました。
4.コロナの危険性が低い
ヨーロッパはEU内の出入りも頻繁ですし、そもそも人が多いのでやはりなかなか感染状況が改善しないようですよね。
モロッコは波はありますが、人口自体も少ないのでヨーロッパほど感染人数が多いというわけではありません。
わたしが滞在した期間は夜間の外出規制がありましたが、もともと夜間出歩く予定はなかったので何も感じませんでした。規制を国民全員がきちんと守っているイメージもないです。
シャウエンに観光した時は、現地の人が皆「ここにはコロナはないんだ!(笑)」と話しかけてきましたし、実際誰もマスクをしていませんでした。
わたしのように「急に入国規制がかかって留学が没になる」という危険性は、ヨーロッパやアメリカなどのメジャーな留学先と比べて少ないのではないかと思います。フランス留学の時は、出国予定日の2週間前まで何の規制もなかったのに結局入国できませんでした。2週間前までは入国にPCR検査の陰性証明書すら必要なかったんですよ。こんなに急に変わることある!??と思いましたがしょうがないですね。
5.イスラム建築が美しすぎる、魅惑の国モロッコ
モロッコ、と聞くとどのような場所が思い浮かびますか?
旅行好きのわたしにとってモロッコは人生で一度訪れてみたい魅惑の国でした!
美しい装飾が施されたカラフルなモスクや青の街シャウエン、サハラ砂漠などなど、モロッコに行ったら旅行したい場所がたくさんありました。
モロッコは人口の約9割がイスラム教徒だと言われており、生活にイスラム教の文化が深く根付いています。
日本にいるとなかな触れることのできない、ムスリムの生活、食事、建物、街並み….。それらを実際に体験できるチャンスはもう人生で2度とないかもしれない。これがモロッコ留学を決めた1番の理由かもしれません。
以上の5つが、モロッコ留学の決め手となったポイントでした。
実際に留学してみてどう思ったか、大変だったことなどを山盛りにした記事がこちらです。↓